基金拠出型医療法人について教えてください。

1.基金制度を採用できる医療法人
 基金拠出型医療法人とは、「基金」の制度(平成19年4月1日以降、採用可能)を採用した医療法人のことをいいます(医療法施行規則第30条の37第1項)。すなわち、持分の定めのない医療法人で、基金の拠出を受けて運営される医療法人のことです。
基金制度を採用できるのは、社会医療法人・特定医療法人以外の持分の定めのない社団医療法人のみです(医療法施行規則第30条の37第1項)。基金制度を採用しない場合は、「持分の定めのない社団法人(基金なし)」に区分されることになります。持分の定めのある社団医療法人や財団医療法人はもちろんのこと、社会医療法人や特定医療法人も、基金制度を採用できないこととなっています。

2.基金制度の趣旨
 基金とは、医療法人の財産として拠出されるものであり、法人運営のための原資となるものです。具体的には、金銭のほか、土地・建物・診療設備等、医療法人を設立するために拠出したものを、基金といいます(医療法施行規則第30条の37第1項)。
このような基金制度は、「剰余金の分配を目的としない性格を維持しながら、活動の原資となる資金を調達し、財産的基礎の維持を図るための制度」であるといわれています。

3.基金の返還義務
 基金制度を採用する場合には、基金の拠出者に関する規定や基金の返還の手続きを、定款で定めなければなりません(医療法施行規則第30条の37第1項)。基金拠出型医療法人は、拠出者に対して、定款で定めるところに従い、返還義務を負うこととなります。金銭以外の財産を基金として拠出した場合には、拠出時のその財産の価格に相当する金銭での返還義務が生じます(医療法施行規則第30条の37第1項)。
 なお、基金の返還に係る債権には、利息を付すことができないとされています(医療法施行規則第30条の37第2項)。

4.代替基金
 基金の返還をする場合、当初の基金に相当する金額を「代替基金」として計上し、返還後も基金の総額が目減りしないようにしなければなりません(医療法施行規則第30条の38第3項)。例えば、当初の純資産(基金部部分のみ)が100あったとすると、基金返還時に代替基金として追加で100計上し、純資産が最低でも200なければ返還することはできないということです。
 なお、この代替基金については、基金が返還されても基金の総額が減少しないように設けられた制度なので、任意に取り崩すことはできないと定められています(医療法施行規則第30条の38第4項)。

5.基金の返還時期
基金の返還は、定時社員総会の決議によって行わなければなりません(医療法施行規則第30条の38第1項)。
ある会計年度に係る貸借対照表の純資産額が次に掲げる金額の合計額を超える場合、その会計年度の次の会計年度の決算の決定に関する定時社員総会の日の前日までの間に限り、その超過額を返還の総額の限度として返還をすることができるとされています(医療法施行規則第30条の38第2項)。
・基金(代替基金を含む)の総額
・資産につき時価を基準として評価を行っている場合において、その時価の総額がその取得価額の総額を超えるときは、時価を基準として評価を行ったことにより増加した貸借対照表上の純資産額
・資本剰余金の価額