海外研修の注意点について、説明してください。

この秋、理事長が国際学会での発表の目的のため、海外の学会に参加することにした。
さらに、学会終了後には、数日間、日程を延ばしプライベート観光をして、帰国してく
ることにした。
 すべての滞在期間にかかったものを経費として全額処理してしまった。
 後日、税務署から、全額経費にしてしまうことは問題だと指摘されてしまった。

<失敗のポイント>
 学会関係費については、全額経費になるようだが、観光に関するものについては、経費になることはない。
 また、学会が実施されている日程期間においても、観光目的で使った交通費等は経費にすることは不可能となっている。

<正しい対応>
(1) 海外の学会と併せて観光してくることは決して悪いことではないのだが、禁止されてもいない。
したがって、観光自体については、問題ではないことになるが、法人の経費と、個人的なものをきちんと分けておくことが重要なポイントとなる。
(2) 観光に関することについては、役員賞与となり、損金不算入となるようだ。

<税法等の解説>
医療法人の海外研修の留意点
 経費となるものと個人的なものをきちんと区別しておく必要があると考えられます。

○ 海外研修の費用
海外研修旅行や海外出張の費用については、法人の業務に直接必要と認められる場合に
ついては、研修費や旅費交通費等として経費扱いになるようである。しかし、直接必要でない場合については、出張者や旅行参加者の給与扱いとなるようだ。その費用に、法人の業務に直接必要な部分と、直接必要ではない部分が混在する場合については、直接必要でない部分の費用のみ、参加者の給与となるようだ。

○ 海外慰安旅行の費用
海外慰安旅行の費用については、次の要件をすべて満たす場合に限り、福利厚生費等と
みなされ、参加者の給与になることはない。
・ 会社負担分が10万円程度(会社負担分が10万、従業員負担分がゼロでもよい。)。
・ 旅行の参加人数が全体の人数の50パーセント以上(工場や支店単位の場合は、それぞれの職場ごとの人数の半数以上)。
・ 外国での滞在日数が4泊5日以内。

○ 学会・海外研修の必要性
医療法人では、医師が海外で開催される学会等に参加することは重要なことになる。
それは、知識や技術の習得が可能となるため、質の高い診療業務をいとなめることにつながるためと考えられている。
 学会等の費用は、損金に算入することが可能となる。
 この場合については、参加のための交通費、宿泊棟の経費で通常必要と認められる額についても計上が可能となる。
 なお、研修とは関係のない観光費用については、経費とはならないことに留意しなければならない。

○ 刊行後の帰国経費
学会や海外研修の後に観光を行ってから帰国する場合については、観光の後でも帰国費
用は損金に算入することが可能となる。
 海外渡航の直接の理由は、学会や海外研修の業務の遂行となるため、現地までの往復旅費は業務遂行所必要なものとして取り扱うことになる(参考:法基達9−7−9)。
 ただし、事業の遂行上直接必要と認められる旅行と、認められない旅行とを併せて行った場合については、事業の遂行上直接必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比準によって、往復旅費を按分することになるようである。

<税理士からのPOINT!>
 海外研修では、個人的な支出が出やすいため、税務調査では、学会の日程表や領収書等がチェックされることになる。
 領収書等は、なくさないようにしておくことが重要となる。