医療法人の届出義務について、説明してください。

医療法人を設立してから、1年の月日が経とうとしている。
突然、都の衛生局より「事業報告等提出書の届出がない」と連絡があり、呼び出
されてしまった。
 まだ法人設立から1年経っていないこともあり、事業報告等提出書を提出していなかったと説明したが、場合によっては、20万円以下の罰金に処せられることもあると厳しい注意を受けてしまった。

<失敗のポイント>
(1) 医療法人を設立してから1年未満でも決算月3ヵ月後までに管轄の衛生局に事業報告書を提出しなければならないことになっている。
20万円以下の過料に処せられることになる。

<正しい対応>
(1) 例えば、4月に医療法人を設立した場合、3月を決算月と決めるとすれば、決算月の3ヶ月後までに、事業報告書を提出すればいいことになるため、6月までに事業報告書の届出を行えばよいということになる。
(2) 医療法人設立の際には、申請のための計画やスケジュールを立てていると思うが、事業報告書等の届出といった法人設立後のスケジュールもきちんと立てておくことが重要となる。
(3) 毎会計年度終了後3ヶ月以内に登記を完了させ、事業報告等提出書および役員重任届け(任期満了後重任した場合)を提出しなければならない。

<税法等の解説>
事業報告について
(1) 医療法人の社員、評議員、債権者から決算初頭の閲覧請求があった場合については、正当な理由が無い限り、開示する必要があると考えられる。
(2) 開示する書類は、事業報告初頭、監事の監査報告書、定款または寄附行為となる。

○ 事業報告書等の作成
医療法人の透明性の確保を図る観点によって、医療法改正により、医療法人は、毎会計
年度終了後2ヶ月以内に事業報告書、貸借対照表、財産目録、損益計算書、その他厚生労働省令で定める書類(以下「事業報告書等」と呼ぶ。)を作成しなければならないとされた(医療法51条)。作成された事業報告書等は、理事から監事に提出されることになる(医療法51条(2))。
 監事は監査をし、監査報告書を作成することになる(医療法46条の3(3)三)。

○ 事業報告書の記載事項
事業報告書には大きく、(1)「医療法人の概要」、(2)「事業の概要」の2点が記載さ
れることになる。

(1) 医療法人の概要
 「医療法人の概要」については、医療法人の「名称」「設立認可年月日」「設立登記年月日」「事業所の所在地」そして「役員及び評議員」が記載されることになる。
 「役員及び評議員」には役員の種別(理事長、監事、評議員、理事)、氏名、職務等が記載されることになるが、社会医療法人、および特定医療法人以外の医療法人は記載しなくても差し支えないものとされている。

(2)「事業の概要」
 「本来業務」「収益業務」「附帯業務」の概要のほか、「当該会計年度内に社員総会あるいは評議員会で議決あるいは同意した事項」等が記載されることになる。
 事業報告書等は、閲覧に供しなければならないことになっている。したがって、事業報告書は、決まった期日までに、都道府県に提出することが必要となる。

○ 各事務所での閲覧
医療法人(社会医療法人を除く。)は、次に掲げる書類を各事務所に備えておき、
その社員もしくは評議員または債権者から請求があった場合については、正当な理由がある場合を除いて、これらを閲覧に供しなければ成らないとされている。

閲覧に供される書類
(1) 損益計算書。
(2) 監事の監査報告書。
(3) 事業報告書。
(4) 財産目録。
(5) 貸借対照表。
(6) 定款あるいは寄附行為。

この取扱いは、2007年4月1日以後に始まる会計年度から適用されている。

○ 閲覧を行わないことができる「正当な理由」
事業報告書等の閲覧について、この閲覧を行わないことが可能である「正当な理由」としては、個人情報の保護の場合、あるいは法人の業務の運営が不当に害される恐れがある場合において、法人の執務時間外の閲覧請求などの場合が考えられる。

○ 都道府県での閲覧
都道府県への届出書類は、債権者等のほか一般の者も閲覧可能となる。閲覧請求が
あった場合において、正当な理由があるか否かを問わず、これを閲覧に供しなければならない。
 閲覧の対象書類については、過去3年間に提出された新様式の書類について行われることになる。つまり、基本的には過去3年間に提出された書類が閲覧対象となる。

<税理士からのPOINT!>
 事業報告書の提出期限は、きちんと守るべきでしょう。顧問税理士に、期限内に提出できるよう、あらかじめ相談しておくことがポイントとなる。